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「タエコを語る」矢島繁雄さん
プロフィール
矢島繁雄さん
インタビュー 矢島繁雄さんが語る「ソネタエコ」
初印象についてお聞かせてください
A.初めてたえこさんと会ったのは2017年6月、今から8年前。
30年勤めた会社を退職して2年経ったころ、私が67歳のとき。
知人から「難病のソプラノ歌手主宰の音楽教室があるんだけど一緒に行ってみない」と誘われたのが始まりでした。
「ソプラノ歌手主宰の音楽教室」と聞いて、自分とは不釣り合いだと思ったけれど、なぜか興味がわいて京王線笹塚駅近くの民家の2階まで行きました。瀟洒なスタジオをイメージしていたので「えっ、ほんとにここ?」と驚きましたが、逆に気楽にレッスンを受けられそうでホッとしたのを覚えています。
発声練習かと思いきや、腹筋や片足立ち、肩甲骨を反らせる運動から始まり呆気にとられました。後で「声を出すための身体づくりが基本」と聞いて納得しました。
その後はピアノの「ド・ミ・ソ・ミ・ド」に合わせて「ア・ア・ア…」と声を出す練習。音階が上がるにつれて無我夢中で叫び、最高齢の生徒になりました。
難病を抱えていると聞いていたので、まず筋トレから始まったことに驚きましたが、たえこさんの体幹バランスや筋力が圧倒的に強いことにただただ驚嘆。これが初印象でした。
魅力についてお聞かせください
A.「うたプレ」と銘打って、老人ホームや子ども食堂、障害者施設、幼稚園、小中学校などへ歌のプレゼント活動をしていたことがとても魅力的でした。私も2017年夏から2019年末までの2年半、参加しました。
会場が一体となって励まし合い、感動し合う素敵な空間を体験できました。
特に尊敬するのは、2020年のコロナ禍で従来の活動が停止した後、スマホを活用して新たなリスナーやプレイヤーとの輪を広げていったこと。体調が悪く車椅子が必要な時期もあったのに、強い想いが突き動かしていたのだと思います。
人に対する愛着、人間愛、人を惹きつける力、目的意識の強さにグングン引っ張られる感覚がありました。歌の上手さ以上に、一生懸命さが人に伝わる力を持っていると実感しました。
これまで、関わってきたなかで特に印象に残っていることについて、聞かせてください。
A.2018年2月10日
「100年後の沖縄の子供たちに贈る歌と笑いのチャリティーコンサート」
(沖縄県おもろまち駅前 Tギャラリア Pine Tree Bless)
ブランドショップが並ぶTギャラリアの3階レストランで行われたコンサートに招待されたときのこと。
出会ってからその時まで、たえこさんのオペラを聴く機会はありませんでした。
その場でベルディ《椿姫》「乾杯の歌」と、プッチーニ《トゥーランドット》「誰も寝てはならぬ」を歌うのを聴き、「あっ、たえこさんはオペラ歌手だったんだ」と気づいた瞬間でした。